銀杏を割るわるるる、愛がある(西田ひかる)

たまには外に出なくては呼吸するのを忘れてしまうわい、なんて言いながら酒屋へ行くために玄関をでると、近所のオバちゃんが銀杏の実を剥いていましたコンチニハ!
公園で銀杏拾ってきたのよ家族が好きなのよ水につけて実を剥くのよ面倒よ手が荒れるわよ、なんて世間話をしたら、すでに乾燥させた実をいただいてしまいました。こんなにたくさん、大変だったでしょうに。姫姉さまかわいそう。あら私が嘘ついたことあった?ない。じゃ、危ないから。きっとねー!というのが一週間前。
手ごろな封筒にひとつかみの銀杏を入れ、電子レンジでボンボン爆ぜるまで加熱します。いいかげん近所迷惑になるんじゃないかと思うくらい爆ぜたら封筒を開け、塩を投げ込んで振り回し、適当な皿にあけて完成。日本酒を片手に宴会スタートなのです!
殻が割れている銀杏を優先して頬張りつつ、日本酒を舐めるように呑んで幸せを感じてました。いやぁ、日本の秋ってイイねぇ。銀杏を美味しくいただけるようになったのなんて二十歳過ぎてからですが、日本酒を覚えたての頃に呑んでいた真澄を酒屋でみつけて懐かしいのもあってか、もーにもーに、と幾らでも喰えそうです。
いつのまにか皿に残っているのは割れていない銀杏ばかり。さてどうやって開けようか、なんて悩みつつ奥歯で噛んでみたりしましたが、カルシウムの足りない歯が砕けそうな予感がするほど噛んでも殻は割れません。なんだコノヤロウ、なんか衝撃与えれば割れるんじゃないのか、何か叩くものないか叩くもの。
ヨロヨロしながら台所へ行き、流しの下をホソゴソやってたら良さそうなものを見つけましたよ、タララッタラ〜♪ 麺棒〜!・・・なんであるんだ?
ヨタヨタしながら銀杏の元へ戻り、割れていない奴らを雑誌に挟んで麺棒でバシバシと叩き、強く叩きすぎて雑誌に張り付いた銀杏の実を爪で剥がしながら食べました。銀杏旨ぇなぁ。ペッ。なんだこりゃ?あぁ、紙か。銀杏うめぇ。
それからしばらく晩酌のお供に銀杏を楽しませていただいたんですが、昨夜でなくなってしまいました。オバちゃん、ごちそうさまです。んで、加熱しても割れない実が多くて、毎回麺棒振るうのもナンなので「銀杏 皮むき」で検索してみたんですが、一気に剥けるのとか無いのね。一個づつ割って、手で剥かなければならん。面倒だなぁ、お?これはもしかしてビジネスチャンス?!銀杏を一気に剥く機械を作ればウハウハなのかい?!と一瞬思いましたが、ピスタチオだって一個づつ剥いてるんだからイイや、と思いました。
来年の銀杏の季節が、今から楽しみです。ィ!